堀内教授の研究テーマ

堀内はニワトリの多能性幹細胞の研究から,家禽でのゲノム編集技術の確立と応用展開をメインに研究を展開し,研究室の統括を行なっています。これ以外にも広島大学をご退職された研究室の松田治男名誉教授,古澤修一名誉教授が進められたいた研究を引き継ぎ,ニワトリ型モノクローナル抗体の有効活用を目指し,認知症や慢性炎症性疾患といった難治性疾患の基礎研究や診断に応用できるような抗体作出研究も継続しています。研究室は,非常に活発で,若手の助教が2名(松崎芽衣・江崎僚),博士研究員1名(寺田拓実),博士課程後期の学生が4名(卓越大学院の5年一貫コース)が所属しています。昨年度まで,博士研究員だった市川健之助は,4月からUKのロスリン研究所のポスドクで勤務します。以下に私のプロフィールを兼ねてリンク貼っていますので,興味のある方是非ご訪問ください。

堀内教授のインタビュー

卓越大学院「ゲノム編集先端人材育成プログラム」の紹介。教育委員会委員長を兼務しています。

広島から世界最先端のバイオエコノミー社会を実現する
Bio×Digital Transformation (バイオDX) 産学共創拠点
の紹介

広島大学・ゲノム編集イノベーションセンターの副センター長を兼務しています。

2022年度から文科省のNBRP(ナショナルバイオリソースプロジェクト)の「ニワトリ・ウズラ」参画し,日本鶏・鶉や遺伝子改変家禽のリソース化を開始しました。

松崎助教の研究テーマ

松崎は家禽のゲノム編集技術の確立と,家禽の生殖メカニズムに関する研究を行なっています。

マウスなどの哺乳類と比べて,ニワトリやウズラ等の家禽では遺伝子ノックアウト(遺伝子の機能を失わせること)や遺伝子組換え(他の生物由来の遺伝子を組み込むこと)といった遺伝子改変を行うのに手間と時間がかかります。松崎は,ゲノム編集技術を利用することで,家禽における簡便な遺伝子改変方法を作りたいと考えています。これが実現すれば,家禽がもつ様々な遺伝子の機能を今までよりも詳しく知ることができるようになり,鳥類のユニークな身体構造や身体機能を理解するのに役立つでしょう。

また,鳥類は生殖システムもユニークです。鳥類のメスは精子貯蔵管という構造を生殖器内にもっていて,交尾後の精子を長期間貯蔵する「貯精」を行うことが知られています。ニワトリの場合は一度交尾をしたら,その後再び交尾をしなくても,3週間くらいは貯蔵した精子を少しずつ使って毎日受精卵を産むことができます。この「貯精」のしくみを体外で再現できたら,精子を長期間保存する技術に利用できるかもしれません。

これら以外にも,「どんな精子がメスに選ばれるのか?」等に関心をもって研究しています。ご興味のある方は,是非私たちの研究室へ見学にお越しください。

市川研究員の研究テーマ

市川は持続可能な食糧生産の実現を最終目標として, 1) ニワトリ始原生殖細胞 (PGC) の分化に関する研究, 2) 鳥類の宿主免疫応答機構に関する研究, の双方に着手しています.

PGCの分化に関する研究では, 性決定機構と未分化性維持機構に着目しています. これらの研究は, 学術面に加え産業面においても重要な意義をもちます. 性決定に関する知見は, 目的の性別の個体のみを作出する「雌雄の産み分け技術」に発展可能です. 一方, 未分化性に関する知見はPGCの安定的な培養系の確立に資するため, 鳥類の遺伝資源の保全に貢献します. 現在はPGCの細胞自律的な分化機構の解明を目的とし, エピゲノム解析やトランスクリプトーム解析を用いて研究を進めています.

一方で宿主免疫応答機構に関する研究では, 高病原性鳥インフルエンザウイルス (Highly pathogenic avian influenza virus; HPAIV) 応答に着目しています.

家禽を安定的に生産するためには感染症の制圧が必要不可欠です. 特にHPAIVの制圧は重要な課題です. 養鶏産業におけるHPAIVの蔓延は, 大規模な経済的損失をもたらします. 加えて, HPAIVはヒトへの感染例もあり人獣共通感染症としても脅威となっています. そこでHPAIVに感染しない, あるいはその排出を抑制できる遺伝子改変ニワトリの作出に期待が高まっています. これを達成するにはまず, 鳥類の宿主免疫応答機構に関する基礎的な知見が求められます. 本研究では鳥類の外来RNA認識機構の解明を目的とし, ゲノム編集技術を用いた逆遺伝学的な解析を行なっています.

これまでの研究成果に関しては, こちらの個人HPよりご確認いただけます.